「まぁ、お前が良いというなら、それで良いがな。」
大きくため息をつくグスト。
「さて、次はどこに行くのだ?飯か?」
お前というヤツは・・・。
「とりあえず、金を作りに行く。」
リンを拾ったのは、痛手だったと思う。
元々、銃を手に入れた時点で、グストの旅は終わりを告げていた。
だから、あの時バカスの家においてきた金貨は、ほとんど自分の全財産に近かったのだ。
「金を作りに?掘るのではなく?」
あぁ、そうか・・・。
「その情報だけは人間に教えるなよ。お前の家族を守りたければな。」
ドワーフは地下の民。
それゆえ、人間が知らない鉱山を知っていることも、珍しいことではない。
だから、当然、彼らしか知らない金山もあるのだろうが、それを人間が知ったら、どのような行為に走るのか容易に想像ができる。
「? わかった。しかし、グスト金を掘らずに、作るとはどういうことだ?」
「それは、それぞれの民族スタイルによるが、俺たち『水の民』が旅するときは、薬や薬草を売る。」
そういう意味では、水の民は、全民族の中で最も安定した収入が得られる民族のような気がする。
例えば、ファイアルの民が旅するときは、狩により、獲物をしとめそれを売りさばく。
フーガの民は、歌や芸を披露することで、金を得る。
ドーラの民は・・・・・・・そもそも、あいつらが旅をするのかどうかは疑問だ。
薬草や薬は、どの国に行けど、需要はあるし、ある一定の金額を得られる。
アイスラの民が旅するのに当たり、困難は多いが、医療知識を持っている以上、少なくとも金に困ることはない。


