「冗談だ。さぁ、服を買うぞ。どの服が良い?あまり、高いものは買えないぞ。やすいものにしておけ。」


 とりあえずと市場に来てみたが、相変わらず凄い賑わいだ。


 コレだけ多いと、犯罪も多そうだ。


 持ち合わせは少ない。


 財布の紐は締めておかねばな。


「分かった。」


 それだけ言うと、リンは市場に繰り出す。


 服を見ながら、「これはどうだ?」とグストに聞いてくるリン。


 こういうところは、なんだかんだ言って女の子なのだろう。


 お洒落に興味を持つのは、悪いことではない。


「悪くないのでは?」


「グスト真剣に見ているか?」


 顔を膨らます、リン。


「見ているぞ。特に値段をな。」


 だから、正直に答えた。


「お前は、ケチだ。」


「倹約家と呼んでくれ。」


 そんなやり取りをしながら、リンが選んだのは、オーソドックスな上下が漆黒の長袖長ズボンだった。


「もう少し、おしゃれでも良くなかったか?まぁ、俺としては安くすんで、ありがたいが。」


 服を着た、リンをみての感想。


 コレぐらいの女の子の格好にしては、いささか地味のような気がするのだが。


「いや、コレで良い。さっき、私と同じぐらいの人間がコレを着ていたのが、凄い気に入った。」


 あぁ、それは俺も見ていたが、あれは、男の子だろう?


 お前は男と女の区別もつかないのか?