「私は・・・もう、どう足掻いてもドワーフには戻れないのだな。」


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 その言葉はとても重く感じた。


 もし、彼女がドワーフなら問題ないのだろう。


 だが、彼女は人間だった。


 人間だったから、ドワーフと共に暮らすことは出来ない。


 今まで親と思っていた者と共に暮らすことは出来ない。


「ああ。そうだ。」


 だから、事実だけを述べた。


「そうか・・・そう・・・なのか・・・・。」


 瞬間、彼女の目から涙が浮かぶ。


「泣きたいのなら、今のうちに泣いておけ。たぶん、お前の人生はこれから、もっと辛いことがたくさん起きる。」


 それが、きっかけだったのだろう。


「うっうわぁああああ!」


 彼女はグストに抱きつくと、途端に大声を上げて泣き始めた。


「パパ、ママ、ガガド、ガルグ、ドマ、メン、グル、じいちゃん、ばあちゃん!」


 たくさんの仲間がいたのだ。


 ドワーフとして、彼女の仲間がたくさんいたのだ。


 だけど、もう一緒には生きられない。


 彼女はもう一緒に生きてはいけない。


「・・・・また、会いに行けばいいさ。」


 そうさ、俺の家族とは違う。


 お前の家族は生きているのだから、いつだって会いに行けばいい。


「うわぁああああ。」


 それでも、彼女は家族に捨てられたことにショックで、その夜は遅くまで泣きじゃくっていた。