「武器を作って欲しい。」


「断る」


 用途目的、なぜ必要か、報酬は・・・そんな言葉よりも前に、老人は答えた。


「俺には必要なものだ。お前しか作れないことはわかっている。」


 しかし、グストはひるまない。


「邪魔したな。オヤジ。勘定はここにおいていくぞ。」


 しかし、老人は聞く耳持たないと、言わんばかりに、ポケットから金貨を取り出すと店のカウンターに置いて、店を後にしていく。


「待ってくれ!」


 グストが大声を上げたが・・・


「無駄だよ。お客さん。バカスはもう、武器作りはやめている。」


 店主が、無駄なことはおよしと、声をかけてきた。


 バカスとは、あの老人の名前。


 世界で、最も有名な武器職人の名前の一人。


「しかし、俺には必要なものなんだ。」


「だったら、バカスではなく、他のものに頼みなよ。どうせ、アンタも『銃』が欲しいのだろう?」


 ・・・拳銃


 バカスが発明した、最も恐ろしく、おぞましい武器。


 その射程は、弓をはるかに凌駕し、その威力は剣をもしのぐ。


 そして、その扱いやすさは、他の武器の非ではない・・・。


 子供でも、竜を殺せる武器。


 それが・・・拳銃である。