「人間?」


「違う、私はドワーフ。貴様の名は?」


 とりあえずグストと名乗る。


「おかしな名だ。」


「それより、君の名前は?」


「・・・リン。」


 15年前、世界を救った6英雄、その中で、『土の精霊』を宿した、格闘家と同じ名前・・・。


「そうか、リンは、ドワーフと人間のハーフだったな。」


 人間とドワーフのハーフ、リン。


 その奇怪な容姿から、人間からもドワーフからも捨てられ、エルフに育てられたという、数奇な運命をたどった少女。


 ドワーフ特有の恐るべき怪力と、エルフ特有の人間離れした俊敏さを兼ね備えていたと聞く。


 英雄ゆえの、特権なのだろう。


「そう、リンからもらった名前。」


 ドーラの民から見て、リンの存在は忘れられたいものだろう。


 自分たちの神がモンスターに宿ったなど、恥もいいところだ。


 それを言ったら、水の精霊も奴隷に宿ったのだから、いえたものではないのだが。


「リンはドワーフの英雄。人間のモノじゃない。」


 お前たちだって、リンを捨てたのではないのか?


 彼女を育てたのは森の民、エルフ族だぞ。