「・・・・・・・・・・。監視をつけよう、おかしなことをしたら、即座にお前を殺す。そこから動くな。」


 言うと、ドワーフはもう一度、地面にもぐる。


 その瞬間に逃げてやろうかとも思ったが、彼らは地中を移動する。


 下手に逃げたところで、足音を探られ、足元から攻撃されたら溜まったものではない。


 グストは、おとなしくその場で立ち止まることにした。


 空を仰ぐ。


 木々に邪魔され空は良く見えないが、相変わらずの曇った空。


 ドーラの大気汚染がここまで侵食されようとしているのか。


 思うと、少し感慨深かった。


「貴様、名前は?」


 声は後ろから聞こえた。


 顔を向けると、そこにいたのは・・・・・人間の女の子?


 身長は自分の腰ほど。


 しかし、ドワーフ特有の足の短さも見受けられなければ、鼻も人間と同じサイズ。


 目だって大きい。


 布切れ一枚の格好は、いくらドーラの土地とはいえ、この季節では寒かろう。


 足元まで伸びている、漆黒の長髪は、一度も散発していない証拠。


 おかげで、顔が良く見えなかった。