「・・・作れると思ったからだ。」
グストの答えは明確だった。
作れると思ったから作った。
やれると思ったから、やった。
「俺たち、ドーラの民はそうやって技術を磨いてきた。作れると思ったからつくり、出来ると思ったから、やった。それが、どのような結末を迎えるとも考えずにな。」
・・・・・・・・・。
「その結果が、これか?」
グストは窓から見える外を見る。
汚れた風、穢れた大地、くすんだ川・・・。
この地は、もうすぐ死に絶える。
そうなったら、ドーラの民はどこに暮らせばいいのだろう。
「それが、業の神の誇りだ。」
「・・・下らないな。」
「なんとでもいえ。」
「お前が死んだら、この家を荒らさせてもらうぞ。お前が作らなくても、過去に作った銃ぐらい見つけられるだろうからな。」
「それが狙いか?」
「打算的なのは、生まれつきだ。」
因果というべきなのだろう。
偶然、立ち寄った武器職人の家。
病気を引きずるご老体。
そして、医療と殺人の知識を持つアイスラの民。
全てが、こうなるように仕掛けられた、水の精霊と土の精霊によって導かれた、運命だったのだろう・・・。
決して精霊同士の仲は悪くない。
所詮、いがみ合っているのは人間たちなのだ。
分かっていても、もう千年以上争い続けた人間は後には引けない。


