その日の夜。


「なぁ、グスト・・・。」


 案の定、子供たちとララをテントで寝かせ、外で野宿をしていると、ギルが起きていた。


 半目状態で、うとうとしている。


「どうした?」


「もしかして・・・俺は勇者なのか?」


 自分の隣に座り、顔をうつぶせる、ギル。


 顔は相変わらず眠そう。


「・・・・・どうしてそう思う。」


「さっきのガーディアンたちの会話を聞いて、何となく・・・。」


 ・・・・・・・・そうか。


「まぁ、可能性の話だ。お前が勇者であると、断定する材料はどこにもない。」


 とりあえず、だから大丈夫だと、頭を撫でてやる。


 しかし・・・。


「リンや、ララには言わないで欲しいんだけど、俺・・・実はファイアルの中でも、凄い弱い方だったんだよ。」


 知ってるよ。


「剣も全然下手で、年下にも負けるぐらいで・・・なのに、いきなり勇者と言われても・・・。」


 ・・・・・・・・・。


「何も、勇者が剣を使うと決まっているわけではないだろう。」


「はえ?」


 不思議な顔をするギル。


 勇者は剣を使うもの。


 別にそんな決まりが必要だとはどこにもない。