「交渉するには、十分な材料だ。お前たちだって負けると分かっていて、戦う必要もあるまい?」
「・・・・・・・・。」
それを聞き、ガーディアンのリーダーは何かを考え始めたらしい。
「撤退したほうが、身のためよ。」
ララがここで止めと口を挟んだ。
彼女の手には、いつの間にか謎の光が放たれている。
無論、医療系の魔法のたぐいで、彼女に聞かなければこの魔法が何であるのか分からないが、威嚇するには十分だ。
「幼いとはいえ炎系の魔法を使う少年。医療系・・・すなわち毒系の魔法を使える女。謎の怪力を持った少女に、入手困難なドーラの最新鋭の武器を扱う男か・・・。」
どうやら、リーダーはこのメンバーがどういうものか、ようやく理解したらしい。
ララは医療系の魔法を使いこなすスペシャリスト。
安易に近づけば、体内から破壊される危険がある。
そして、ギルは未熟とはいえ、魔法の中では最大級の炎系の魔法を使うことが出来る。
当然、油断できる相手ではない。
ファイアルとアイスラの貴族のコンビというのは、非常に珍しい組み合わせで、中々見ることが出来るわけではないが、それまでだったら、まだガーディアンでも対処できるだろう。
彼らは、魔法の欠点と属性についても熟知しているのだから。
しかし、問題は底の見えない、残り二人だ。
まず、グストの持っている武器は、未だドーラから出ていない武器のため、どのような威力、どれだけの効果があるのか、計算が出来ない。
ましてや、それをアイスラ人が使うとなると、知能戦も必要となってくる。
そして、リンにいたっては、まったくの未知数だ。
片手で大の大人を突き飛ばすほどの怪力。
そんな魔法は存在しないし、素の力だとしたら少女の持つ力としてはイレギュラーすぎる。
炎と水の魔法が手を組んでいるだけでも厄介なのに、その上、能力が未知数の大人と子供が相手となると、いくら特殊訓練を受けているガーディアンとは言え、三人だけでは圧倒的に不利になる・・・はずだ。
・・・俺なら、そう考える。


