「私たちは、子供に向けるような剣を持っていない。それは私たちの隊長も同じ考えだ。大人しく投降してくれないだろうか?」
リーダーらしき男が頭を下げる。
しかし・・・。
「いやだ!」
今まで黙って影に隠れていたギルが大声を上げた。
「!いやだって、お前は自分が何をしたか、分かっているのか?」
別のガーディアンが声を上げるが・・・。
「わかってる!でもいやだ!戻ったら、処刑される。殺される!俺は分かっているんだ!」
ギル君に下った処罰は、一度目は厳重注意、そして二度目は処刑。
戻ったら、殺される。
分かっていて、戻るバカがどこにいる?
「違う、それは誤解であり、あの司法官の裏は取れている。だから、今度こそ正式な裁判を受け、きちんと罪を・・・。」
必死に弁明するが・・・。
「信用が出来ない。」
ガーディアンが何かを言う前に、グストが声を上げた。
「そうね、いくらその司法官の裏が取れました・・・だから、大丈夫。と言ったところで、実際、あなたたちが、その司法官を野放しにしていたのは事実だからね。」
ララもグストの言葉に乗っかる。
「ぐっ!・・・それは、軍の体制が問題であり、裁判を行う司法官に軍事的思考が介入できないように・・・。」
分かってるよ。
法律をつかさどる司法官にそこまで強く軍人は口出しできない。
それを許したら、あっという間に軍人たちが列挙する軍事政権が出来上がるのだからな。
軍事国家でもあるが、商業国家でもあるライストが完全に軍事思考を持ち出したら、商売は難しい。
そんなこと、よく分かっているよ。


