きっと、俺も小さい頃は、こんなものだった。


 涙を流しながら飯を食う、ギルを見ながらグストは思う。


 視野が狭くて、世界が広くて・・・。


 だから、子供というのは、見慣れないものを恐怖する。


 きっと、今までずっと何かの恐怖と戦っていたのかもしれない。


 それは、親からのプレッシャーか?それとも、他のなんであるのかは分からない。


 その恐怖を必死に振り払おうとして、その恐怖をなんとか克服したくて・・・。


 気がついたら、彼は二件も家を燃やしていた。


「・・・これから、ギルのヤツには剣の稽古を三倍に増やさないといけないな。」


 ラグストールが、確かそんなことを言っていた気がする。


 力が全てと考えるファイアルの民。


 だけど、必ずしも国民全員がそうとは限らない。


 もしかしたら、ギル君は剣の稽古が嫌いだったのかもしれない。


 剣を振るうのがいやだったのかもしれない。


 ・・・・・・強くなりたい・・・・。


 ギル君の意識が朦朧としている際に聞いてしまった寝言。


 ・・・強さだけが全てのファイアルの地。


 弱いものは、どこで生きればいいのだろうな?