「パパ・・・ごめんなさい・・・。」


 パパが嫌いだったわけじゃない。


 ママがいやだったわけじゃない。


 なのに、なんで俺はライストであんなことをしてしまったのだろう。


 家を燃やし・・・人を燃やして・・・。


 誇り高きファイアルの血を、名誉高いラグストール家の名を・・・俺が、汚してしまった。


「気にするな。お前は悪くない。」


 それを見ていた、大人の男性が、優しく頭に手を乗せる。


 その顔はとても、温かい。


「でも、俺は!」


 燃やした、たくさん燃やした。


 たくさん、傷つけた。


 たくさん・・・殺してしまった・・・。


「だから、悪くない。とりあえず、飯を食って今日は寝ろ。明日になったら、ゆっくり話す。大丈夫、お前は子供だから、大人のいうコトを聞いていれば、問題ない。」


 そのアイスラの庶民の言葉はすんなりと耳に入った。


 腹減ってたんだ。


 それに、とても眠い。


 あんなに寝ていたはずなのに・・・。


 とりあえず、この男の言うとおりに、飯を食って寝てしまおう。


 明日になれば、きっと変わる。明日になれば・・・。


 ギルは、大人たちが差し出した食事を口にすると、その美味しさにさらに涙を流していた。