「可愛い~!!」
大人の女性が、それを見て、さらににやける。
「素直ではないな。」
大人の男性も、笑顔を向ける。
それで、何となくその場が和んだ気がした。
貧弱連中だというのに・・・。
「食べ物の前では、民族はない。どの民族が食べても、美味い魚は美味いのよ。」
大人の女性がいい。
「どの民族が食べても、グストの料理はまずいのだな!」
リンが返した。
「そういうコトよ。」
「お前たち・・・。」
三人が、また顔を合わせて笑う。
そういえば、こうやっていろんな人と顔を合わせてご飯を食べるなんて、どれぐらいぶりだろうか・・・。
いつもは、召使がいて、ご飯を順に運んできて・・・パパとママがいて、いつも剣の稽古の話ばかり・・・。
でも、俺は一向に剣が上手くならず、いつも負けてばっかりの俺を見ながら、パパは優しい顔で・・・「まぁ、焦らずやれ。」と言ってくれて。
でも、それが俺にはとても辛く・・・。
毎日、そんな顔をしたパパの顔を見ながら食べるご飯は、とても不味くて・・・。
ギルの目から自然と涙が出る。
ご飯を前にして、笑う三人を前にして、頭が冴えてくる。
自分が何をしてしまったのかも、だんだん分かってくる。


