「私は一応、貴族だけど・・・」


 大人の女性が、そんなことを言ってくるが・・・


「アイスラの民なんぞ、庶民も貴族も関係あるか!?」


 自分でも、何言ってるのか、よく分からなかった。


 だけど、やっぱりアイスラの民は、頭でっかちで、理屈やで、まともに剣ももてない連中の集まり。


 そんな貧弱連中なんぞと、一緒になれるか?


「・・・腹、減ってないのか?」


「なら、私が食うぞ。」


 リンがそんなことを言っていたので・・・。


「で・・・でも・・・まぁ、今回だけは、許してやろう。」


 空腹には勝てなかった。


 皿を受け取り、フォークを受け取る。


 やっぱり、いい臭いだ。


 美味そうだ。


 あ、またよだれが・・・。


「いくら、魔法で治療したところで、ご飯や水がなければ人は元気になれない。医療魔法は、優れた魔法なんていわれているけど、その程度の力よ。」


「・・・・お前が、治療してくれたのか?」


 大人の女性に尋ねる。


「その通り、感謝しなさい。」


 笑顔を向けられ・・・。


「あ・・・あり、がとう・・・。」


 それ以外の言葉が見つからなかったから、素直にお礼を言った。


 いや、違う。こいつらは、アイスラの民。


 でも飯をもらった。


 飯をもらい、助けてもらった以上は、たとえこいつらが、貧弱連中だとしても・・・。


「あと・・・ご飯、いただきます。」


 お礼を言わなければ、いけない気がした。