「魚だぞ、美味いぞ!グストの料理じゃないから安心だぞ。」


 リンも言ってくる。


「どういう意味だよ?」


 大人の男性が聞き・・・


「そのまんまの意味でしょ?あなた、旅の間、何食べていたのよ?」


 大人の女性が返す。


「携帯食を・・・。」


「うぇ~あんなまずい物だけで、旅できるその神経が理解できない。」


「グストは携帯食までまずいからな。」


「携帯食は、みんなあんな味だ!」


「おい!」


 完全にこちらを無視して会話を続ける三人に少し腹が立って、さらに声を出すが・・・。


「いつまで、そこにいるつもりだ。お前の分の飯もあるから、さっさと来い。」


 大人の男性に言われ、結局ギルは空腹に負けた。


 恐る恐るテントから這い出て、彼らに近づくと、魚と果実が混ぜ合わさった、炒め物が見ることが出来た。


 いい臭いをしている・・・。


 お腹・・・すいたな・・・。


 あ、よだれが・・・。


「やっぱり、可愛いじゃない。」


 大人の女性が、大人の男性を見て笑う。


「お前は、あの事件を知らないから言うんだよ。ほら、お前の分の飯だ。」


 言いながら、男が差し出した皿の上には他の三人と同じ果実と野菜の炒め物が・・・


「しょ・・・庶民の施しは受けん!」


 これでも、俺は誇り高きファイアルの貴族!


 庶民や、ましてや理屈屋のアイスラの民の施しを受けるなぞ、そのプライドが許さない!