大丈夫だよ、頑張れ私!あなたならちゃんと言える!

最大限に自分を励ましつつ普段通りに聞こえるように意識して、昨夜考えたセリフを並べた。

「中村です。突然電話してゴメンね。今ちょっと時間いい?」

「ああ…今いいけど…と言うか今日は特に予定はないからいくらでも時間いいけど」

向かいの席で私の電話の相手がヤマト君だとわかったアイが、驚きのあまり無言のまま目をまん丸くしている。

なんか猫みたい。

「ありがとう。あ、じゃあさ電話じゃなくて会って話たいんだけどダメかな」

「いいよ」

「なら…今2時か。じゃあ3時に迎山緑地公園の橋の上で待ってるね」

「ああわかった。遅刻しないように行くよ」

「うん、じゃあまたあとでね」

「ああ」

名残惜しいような気分で通話終了。

彫像と化しているアイに親指を立ててサムアップのサインをして見せた。