もう充分に彼を追い込んだハズだ。やり過ぎたら最後のイベントがなくなって興醒めになってしまう。

私は態度を一変しヘッドロックするように腕を彼の首に回して親しげに話しかけた。

「イヤイヤ私とした事がお小言なんてガラでもない事を。年をとると説教臭くなってイケマセン。

それではあなたにもお別れを。もうあなたに会う事はありません。さようなら」

彼から離れ向き合ったまま二歩下がる。

意味ありげにチラリと体育館の隅に視線を流せば釣られて彼もそちらを見る。

そこには上が開いた段ボール箱が置かれているが、ここからでは中身は見えない。

彼が視線を戻さない内に会釈をして声をかける。

「それでは失礼」

振り返る彼の前で私は闇を纏い姿を消した。

  ―終章 終―