「伝える事?」

「そうです。ああ少し騒がしくなってきましたね。歩きながら話しましょう」

コウは私を促して事故から遠ざかるように歩き出し私もそれに続いた。

私は自転車を押していてその自転車をはさんだ反対側をコウが歩く。

多分知らない人が見ても恋人どうしには見られないと思う。

この期におよんで私がそんな事に気を使っているのに気付きもせずコウは話はじめた。

「人は自分がいつ死ぬかは誰も知らない。
でもあなたは知る事ができました」

コウは話の内容にふさわしくないほどにこやかに話す。

それはもう八つ当たり的にツネってやりたくなるぐらいだ。