かけがえのない唄

「妃菜ー!!」



待ち合わせのライブ会場に行くと、二人とももういて、またあたしが一番最後だった。




「ごめん、またあたしが最後だね」




Moon Lightのメンバー健ちゃんの彼女、紅実と悟の彼女、美優ちゃんに言う。




「だって妃菜が一番忙しいし。ねー美優ちゃん」




「そーそ。だからいいって」



本当に二人は優しいなぁ、って。




「でもさーいつもは来るなって言うくせに今日は来てだからさ、もう何考えてるか分かんないよねー」




頭を傾げながらいうのは紅実。




「今日、妃菜ちゃんの誕生日だからじゃない?」




そう、今日はあたしの誕生日なのだ。Moon Lightの誕生日でもある。




「絶対忘れてるって。純さ、久々に朝いたんだけど誕生日おめでとう、の『お』の字も聞かなかったし」




いつもは最初にあったときに言ってくれるのに。
ホント、いつもの朝、だった。




「そーかなー純くん、絶対妃菜ちゃんの誕生日忘れてないと思うけどなー」




そんな優しい言葉を言ってくれるのは美優ちゃん。




「あ、妃菜。これ、美優ちゃんとあたしから」




「うそ!!ありがとー」




二人の優しさが心にしみわたる。