かけがえのない唄

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「妃菜、妃菜、おいばか妃菜!!」




「……ん?」




やっと自分が呼ばれていることに気づき反応する。




「ばか妃菜で反応するんだから、妃菜はばかだな」




「健ちゃんのあーほ、ばーか、ばーか」




「妃菜のがばかだろ」



さらりと酷いことを言う健ちゃんに




「健ちゃんのが頭わるいじゃん」



と返す。




「あーそーか、じゃあ、妃菜は究極のあほだな」



納得した、とおもったらすぐさま変化球をなげてくる。




「究極のあほって何よ!?」




「そのまんま」




やっぱり、健ちゃんには口では勝てない。
ため息をついてると。純が目にはいった。



「あー純、笑わないでよー!!」




口を押さえて笑っている純をみて、あたしは叫ぶ。




「ごめんって。ちょっと妃菜、この歌詞みてよ」




笑いながらいうんだから、謝ってないじゃん、と思いながら純に渡された歌詞の原稿に目を通す。




「曲は、今流れてるやつだよね?」




歌詞とにらめっこしながら聞く。




「あーうん」




オレンジ色のペンで純の書いた歌詞に編集をいれる。



これはいつものことで、高校の頃は純の書く歌詞はひどくって、いつもあたしが全部かいていたのだから、歌手になって、成長したんだなぁ、と思う。



なんか巣立っていく気がして寂しい。



なんていったらまた健ちゃんにばかにされるだけだし、あたしはもくもくと直していった。