かけがえのない唄

「だって!あの選曲はなしでしょ!!」




あたしは必死に弁解する。




「あーあれ?誕生日だからねー」



なんて呑気に言うのは悟。




「俺は誕生日に妃菜に泣かせたくないっていったんだけど、悟と健が言い出したら聞かなくってさ」




「そんなにあたしに泣かせたかったんだ」




「というか、思い出を思い出して欲しかった。ちょうど7年たったし。俺らもだけど」



なんて真面目に健ちゃんがいうもんだから、ちゃんと理由があったんだ、と妙に納得してしまった。



「ま、一応、ライブの曲決めするとき意味あってやってるからさ」




そんなとこは昔から変わらないな、と思った。









「にしてもいつ食べても妃菜ちゃんの料理は美味しい。純が羨ましいよ」



この雰囲気をぶち壊すようにそんな事をいったのは、ひとりいそいそと食べ物を頬張っていたマネージャーさん。




「俺のだもん。あげねーよ?」



それに純がのっかるようにして、完全にぶち壊れ。




そして。
ヤバい。
顔が火照ったのが分かる。



卑怯だよ。
そんな言葉を突然サラリと言うのは。