「大阪って言えば…USJだよね!私、行ったことない」
大阪に住む彼と、そこからは程遠い場所に住む私。
ふたりを繋ぐものは、このちっぽけな携帯電話だけだ。
ばかみたいだけれど、本当にこれしかない。
「ほんまに?じゃあ、今度奈保が大阪来たとき、俺が案内したるわ!」
「ほん…と?」
ほんま、なんて。
思わず大阪弁がうつりそうになった。
笑える。
「ほんま、ほんま!大阪駅まで迎えに行ったるわ!」
何度も「ほんま」を連呼する彼が可笑しくて、私は思わず笑った。
初めて、電話以外のものが私たちを繋いだ。
叶うはずのない、ひとつ約束が…。

