【短】間違い電話からはじまる恋



それから、シンイチさんから毎日のように電話が来た。

酔った勢いで掛けて来た日もあった。


新しい冷蔵庫を買った、とか。

今何してる、とか。

そんな内容だった。


私からシンイチさんに電話を掛けることは、決してなかった。

だけれど、いつの間にか、シンイチさんからの電話を心待ちにしている自分がいた。


シンイチさん用に着信音を変え、彼からの電話を待った。

ドキドキしながら携帯を気にする私は、まるで恋する女の子のようだ。


まさか…。

私、恋をしているの?


そんなはずはない。

会ったこともない相手に恋をするほど、私だって落ちてはいない。


知っているのは、彼の声と名前。

それから、大阪に住む大学生だと言うこと。


それだけだった。