そのまま月日だけが流れ、気が付けば季節は冬になっていた。
教室から見える雪景色に「寒そう」なんて思いながら、暖房の利いた教室で温まる。
今でも、私の気持ちはちっとも変わっていない。
春にあの布団の中に置いてきたままだった。
「例年は沖縄だったが、今年の修学旅行は大阪も選べるぞ!」
担任の先生が、ふたつの地名を黒板に大きく書いた。
私は、その文字を穴があくほど見つめた。
“大阪”
行きたくて行きたくて、仕方がなかった場所。
私は迷わず大阪を選んだ。
彼は、まだあの約束を覚えてくれているだろうか。
―――今度奈保が大阪来たとき、俺が案内したるわ!
あなたと私の、たったひとつの約束を…。

