かくして私はかき山と同室になった。以後三年生の最後まで、2年間、かき山と生活を共にすることになる。かき山は多少偏屈なところがある気性の持ち主だが、一緒に生活してみると、そりゃあ楽だった。最初から「束縛無し」の約束がされているから、たとえばお互い土日外泊しなかった場合、普通なら部屋の子同士で夕飯の支度をしたり、一緒に食べたりする。また、外出なども一緒に行動することが多い。だがかき山も私も、勝手に食べたいときに食べ、出かけたいときに別の子と出かけていた。おかげで相手に遠慮することなく2年間が過ごせた。まあ私も偏屈なところがあるから、気が合ったのかもしれない。

 実習の方は、これから毎週、コンスタントに週3回、行われる。週2回が半日、1回が一日のオール実習だ。皆、それぞれの部屋を尋ねておしゃべりすることはあっても、一年生のときのように、遊びまくることはできなくなってしまった。

 ある日寮に封書が届いた。とある企業から、「合コンしませんか?」というお誘いの手紙である。私たちはにわかに色めき立った。もちろん蹴るはずがない。この頃の私たちにとって、彼氏はのどから手が出るほど欲しいアイテムである。しかもたまたま封書を手にしたのが、二年生だった。だから一年生はともかく、三年生は知らない。しめしめ、二年生だけで合コンに参加してしまえ、とばかりに早速オッケーの返事を出した。すると日程、場所などセッティングしたものが書いてある封書が、二日後再度送られてきた。さすがは社会人、やることが早い。だが向こうは若手の会社員とはいえ、20代~30代前半だろう。私たちは19~20歳の小娘である。果たして話が合うのだろうか。