看護学校へ行こう

それから病棟に戻り、私はナースステーションでカルテを見て、情報収集していた。と、電話連絡が入り、患者さんのオペが終わったことを伝えられた。担当ナースと迎えに行く。すると患者さんは、片目に眼帯をかけ、金具のようなもので眼帯の上を覆っている。しばらくは目を開けられない。外部からの刺激も与えられない。安静である。私は明日は受け持ち患者さんに何をすればいいのだろうと考えていた。その日の3号紙はオペ出しについて詳しく書けたので、充実していた。

 実習最終日。受け持ち患者さんは安静なので、少し話をしてカーテンをひき、ナースコールを手元においた。あとはそっとしておいた。暇なので、他のいろいろな処置に尽かせてもらうことにした。その日の検査、処置などが書かれたボードを見て、担当ナースに言い、検査につかせてもらった。午後になり、別のナースが、

「学生さん、採血あるけどどうする?」

と声をかけてきた。本当はしたくなかったが、近くに赤田さんがいる。断ったら「やる気無し」と見なされそうなので、私は返事した。とはいうものの、本物の患者さんに採血するのは初めてだ。緊張である。ナースについてもらって患者さんのところへ行く。患者さんは「えっ」という表情をした。私は手がぶるぶる震えていた。顔から汗が噴き出す。だがなんとか一発で採血でき、患者さん共々一安心した。というか、ナースの方で学生に声をかけたのは、血管の出やすい患者さんだったからなのだ。血管の出にくい患者さんだとナースは失敗がわかっている一年生の学生に声はかけない。あとでそのことに気づいて、一見厳しそうなナースでも、優しいんだなと感じた。