看護学校へ行こう

担当ナースは、

「じゃあ、今日できる準備をしましょう。」

と言い、T字帯、前投薬、注射器、おむつ、バルンカテーテルを用意した。先生に言われなければ気づかなかった。その日は寮に戻ってから再び2号紙と3号紙の書き直しと、今日の分の3号紙を書く。オペについて、文献で調べたり、オペ後患者さんにどうすごしてもらうかなど、2号紙に加えた。

 翌日になり、オペ出しだ。主任の赤田さんは、今日はレポートのだめ出しをしなかった。一安心だ。だが寝ていないので、へろへろだった。担当ナースは優しくて、細かく教えてくれた。質問もしてこない。厳しい混合実習のなかで優しさに触れると、数倍うれしい。聞けることは思いつく限り聞いた。ナースは

「オペ室ナースへの申し送り、やってみる?」

と言う。自信はないが、良い機会だ。思い切って、

「やります。」

と返事した。

 オペ室に患者さんを移送すると、カルテ、温度板、申し送り表をオペ室ナースに渡し、事前のバイタル、今日行うオペの確認、事前に行った検査データなどを申し送った。緊張しているので、しどろもどろだ。だけど、担当ナースがフォローしてくれた。やった!初めて申し送りをした。完璧じゃないけど今日のレポートに書ける。それに手術室の中に入るのも初めてでうれしかった。執刀する場所には入れないが、入り口までは入れた。なんだか禁断の地に足を踏み入れたみたいで、一般の人が入れない場所だと思うと、優越感に浸れた。