「…へ…私…」

『たくっ…心配させんじゃねーよ。どいつもこいつも…』

ドアの近くで大河が安心したように口を開く。


『紗季ってば翔たち探しに行ったっきり帰ってこないんだもん』

『心配したよー!そしたら泥だらけだし足怪我してるしさ』

美穂と千夏が早口で話す。


…「……翔…?」

そうだった……私…崖から落ちて…そのあと…?


「私どうやってここまで?」


ガチャ…

『翔がお前を背負ってあの雨の中、ここまで来たんだよ。』


順也くんが入ってニコッと笑って答えた。


「…へ?」


『あれ、すごかったよね〜♪』

『皆が心配して待機してたらドアから入ってくるなり、『紗季を早く助けてやって下さい!』だっからね〜』

『二人ともびしょ濡れで紗季を取りあえず千夏たちが拭いてたときにね〜『翔、倒れたんだよ』


千夏が話す途中で大河が入ってきた。

「それでっ…―!?!?」



バタバタバタッ―


今私は走っています。
なぜかと言うと…

“今上の階の205号室で寝てるよ”


…203…4……205!

バンッ!

勢いよくドアを開けたその先には…


「翔…」


“翔は雨ん中走ってきたから風邪引いて今寝てる”



「翔…翔…ごめんね…私…ッ」

寝ている翔のそばに行き、ベットの枕元に近付き、問いかけた。


「翔、私が好きって…ほん…と?」


“翔は紗季のことが好きなんだよ”

さっき順也くんたちに言われた言葉。美穂も、千夏も行ってこい!って後押ししてくれた。


『…ん〜…き』


いきなり寝返りをうった翔の顔が私の顔のすぐ前に…。


「って…ちょっ…!/」

いきなり恥ずかしくなってきた私は離れようと立とうとした。


ガシッ―


「…ひゃあっ!」

いきなり掴まれた腕。よろめいた私は翔が寝ていたベットに頭から飛び込んでしまった。


「…鼻…痛ッ…!!!」

ばっ―!と起き上がるとすぐ近くに翔の顔が。