『…き!…さ……き!…?』


消えて行く意識の中で誰かの声が聞こえた。


『…き!…だ……か?!』


――誰…―?


もういいや…。脱力感に奪われた私の体はゆっくりと眠りに落ちていった。


『…ね…るな!……紗…!!!』


必死に呼び続ける声。聞いた事がある―。私が一番聞きたかった声だよね……?



『紗季!!!!』


消えていく意識の中ではっきり聞こえた声…。


「か…ける?…」

目をうっすら開けると暗闇の中、翔の顔が見えた。


『紗季!!????よかった…―大丈夫か?今助けてやるから』

ぎゅっ…――

震えてる私の泥だらけの手を握る翔。


…――――翔―翔…翔っ!


ぎゅっ…―――!


『…っえ?…さ…紗季?』

「…翔…っ…来て…くれ……て…ありが…と」


私は無意識に今あるすべての力を使って翔に抱き着いた。


『紗季………俺、紗季の事…』

ぎゅうっ―――

強い力で抱きしめ返され、私は気を失った。









「…ん〜…?」

『紗季!!!????』

眩し…ッ…―

目を細めて開けるとドアップの千夏が居た。


『よかったーーー!!!』

勢いよく抱きしめられ、頭がガクンガクン揺れた。


『紗季ぃいー…心配したよー!よかったぁあ…;』

千夏と美穂は泣いていた。