BLOOD,CHAIN.

どうやら、狩りの邪魔をされてご立腹らしい。獣達が唸り、青年にジリジリと寄ってくる。

すると、青年も不愉快そうに‥細長い眉をつり上げた。
如何にも《不機嫌です。》と言っている表情だが、青年が眉をつり上げた瞬間‥ザワザワと、森全体が騒ぎ出した。
まるで‥青年の怒気に、森が怯えているような感じだ。


「ねぇ、僕はイヌと戯れる暇は無いんだ‥さっさと消えなよ。それとも、遊びたいの?」


ビリビリと、静電気のように肌を刺す痛みが刹那に走る。どうやら、コレが殺気というものらしい。凄まじい恐怖感と吐き気‥此処から逃げ出したい心境に陥る。

獣達は、文字通り尻尾を巻いて逃げ出す。刹那は、上体を起こして胡座をかくと‥大きな溜め息を吐いた。


(よ‥よかったぁ、助かった!あ〜恐かった、危うく獣達の晩御飯に‥‥って、あれ?あんな凶暴そうな獣達を一睨みで退散させたお兄さんと二人きり‥?今の方が危なくないか!?)


すぐさま、顔を青ざめる刹那。壊れたロボットのように、ゆっくり顔を上げると‥ジッと自分を見下ろす、青年と眼が合った!