屋上に戻ると、羽野がフェンスを掴み遠くを見つめていた。
その後ろ姿が、眩しい。
あたしはそっと隣に立つ。
「あたしも、あたしを生きることを選んだよ」
「そっか」
羽野は優しく微笑んだ。
「ねぇ、なんであんな話今まで話したこともなかったあたしにしたの?」
「さぁ、俺は俺を生きてるだけだよ」
羽野が八重歯を見せて、悪戯っ子のように笑って見せた。
そんな羽野を見て、あたしも声にだして笑った。
あたしたちの笑い声は遠い空へと吸い込まれていく。
そしていつか雨になり、この頬を濡らすだろう。
それでも
あたしは、あたしを生きて死んでいく。



