君への距離~あなたに一番近い場所~

(あたしのほうが…


俺のほうが…


ケンのほうが…



みんなして勝手なことばっかや。)


根拠なき空想の比較は虚しくて悲しいだけ。


シオは天井を見上げてつぶやいた。



「俺のが…杏を幸せにできるんやないかな」



「シオ?」



「ちょっと出てくる」


シオは何かを決意したかのように部屋を出ていった。