翼はしばらく杏の部屋の前から動くことができなくなった。




膝をついて、唖然としていた。


(なんで…、



なんでこんなことになるんだよ!)




一方、杏は閉めたドアにビタリと背中をつけて膝を抱えて泣いていた。



(これでよかったんだよ…



これで…)




ドアを挟んで二人はすぐそばにいるはずなのに、なぜかすごく遠く、手の届かないところにいるように感じた。