君への距離~あなたに一番近い場所~

杏は走って走って、いつかみんなで花火をした海までやって来た。


ザザン…


ザザン…



(どうしよう…)


杏は膝をかかえて海を見ていた。

不安と絶望があの波のように杏の胸に押し寄せてくる。




(ついこの間まで、あたしは自分でも怖いくらい幸せだった…



翼くんの手術が成功して肩が完治したこと、翼くんがノーヒットノーランの完全試合をやってのけたこと…



楽しい思い出にはいつだって翼くんがいる。


これからもそれはずっと変わらないって思ってた…。)





杏は翼の心までなくしてしまいそうで怖かった。



(好きだから…、)


杏は思う。


(大好きな翼くんにだけはあの日の出来事を知られたくなかった…


隠し通せるものなら、隠し通してしまいたかった!)