夕暮れの帰り道。
のびる手をつないだ二人の影。

翼はかん吉と娘、胡羽の話を杏にした。




杏は涙をポロポロこぼしながら静かに聞いていた。





「杏ちゃんは、知らないとこでたくさんの人を救ってる…」



―シオも、かん吉も、もちろん僕も…

それからきっとマサキやアツシやリョースケ、ケンイチ…




「みんな杏ちゃんを必要としてる…」




「大げさ…」

杏がふわっと笑う。



翼はつないでいる手に力をこめる。



(―はなさない、



これからどんな辛いことがあっても

二人いっしょに歩いていこう。)