君への距離~あなたに一番近い場所~

「ぞわぞわする-」


杏はベランダに座って、策から足を出してぶらぶらさせながら言った。


素足に当たる夜風の冷たさが足先から杏の全身に登ってきた。




「満月-」


杏は空を見上げつぶやく。


月を見ているとなぜかぼんやりとした気分になった。




ため息と共にふと本音がこぼれた。


「…疲れた」



涙も、こぼれた。







頭の上にはまあるい月と、ひらひらたなびく青白い洗濯物。


涙で滲む杏の目には何やらそれはこの世のものとは思えないキレイな景色にうつった。





(ここからあたしだけを切り取ったって何も変わんないだろう…




それどころか、


きっと美しさを増して成立するんだろう。)