君への距離~あなたに一番近い場所~

「あ、ありがとう!」

翼は驚いたように、でもとてもうれしそうにそれを受け取った。



「開けてもいい?」



「もちろん!」
杏はにっこり微笑んだ。



翼がリボンをほどいて中を見る。


「あっ!」

中には黒地に赤いラインの入ったバッティング用の手袋が入っていった。


「これ…」



「前、手のマメが潰れて痛がってたから…。ピッチャーは手が命でしょ?」


杏はにっこりと笑って自分の手のひらをヒラヒラさせた。



翼はそのしぐさが、その優しさがたまらなく愛しかった。