『すみれ。俺、先行ってっから』
タカは軽く頷いて見せて立ち去った。
『あの、俺』
目の前にはどこかへ行ってしまったはずの洋くん。
『必ず、すみれさんを奪います。
俺はあんなオジサンに負けません。
俺は…逃げない』
洋くんの目は真剣で。
初めて告白されたときと同じ目だった。
「洋くん」
やっぱり…
「私には」
やっぱり…
「あの人以外、考えられない」
ダメなんだ。
洋くんと私じゃ釣り合わない。
絶対、私なんて重いだけ。
不倫なんてしてる最低な女だもん。
そんな女が洋くんに似合うわけない。
『どうして勝手に決めるんですか』


