『お前さ~さっき、男泣かせてただろ?』
食堂を出ると誰かに肩を叩かれる。
ってこの声…アイツしかいないじゃん。
「うるさい、タカ」
ってかこんなようなやり取り、さっきもしなかったっけ?
『お前は俺の顔見る度にうるさい、うるさいってさ。
正直俺でもヘコむんだぜ?』
あっそ、と一言であしらった私は足早に中庭を歩く。
でもタカは横をついて来て。
『アイツ、綾の弟だろ?』
この言葉に、足が止まった。
「なんで?なんであんたが洋くんが綾の弟だ、って知ってるの?」
『なんで?って2人、すげぇ顔似てんじゃん』
しれっとした顔で言うタカ。
確かに、似てる。
だってそりゃあ、姉弟だもん。
似てて当たり前。
だけど、だけどさ、タカには関係ないじゃん。
『溜め息ついてたのはアイツが原因なんだ?』
なんでだろ。
なんでコイツにはバレちゃうんだろ。
タカには昔っから隠し事ができないんだ。
いつも、バレてしまう。


