「どうして今日はこの花を飾ったんですか?」
私はじっとキンセンカを見つめる。
『すみれさんが…悲しそうな顔してたから、ですかね?』
この言葉を聞いて泉さんに視線をずらした。
私が、悲しそうな顔してた?
でもいつ、泉さんは私を見たんだろう。
『あなたは、驚くかもしれない。
でも僕には分かります。
あなたの考えてることが。』
「泉さん…」
『なんて、冗談ですけどね』
泉さんはそう言ってふっと微笑んだ。
キンセンカの花のような大きな温かい色をした笑顔。
その笑顔の裏に、悲しみが見えるのは私の目の錯覚ですか?
『すみれさん、あなたにそんな顔は似合わない。
笑って下さい』
泉さんは不思議な人だ。
ブルーなキモチを変えてくれる。
何も言っていないのに気持ちをくみ取ってくれる。
私の考えてることが筒抜けならば、
奥寺さんのことを隠す意味は…ないのかもしれない。