どうしようもなく、嬉しくて。
どうしようもなく、涙が溢れた。
『俺は、あなたを守りたいと思った。
だから自分の身を犠牲にしてでもあなたにだけは傷ついて欲しくなかった』
泉さんは布団から顔を出す。
でも、私のほうを向いてはくれない。
『あなたはすごく誠実な人だ』
泉さんには見えてないかもしれない。
でも、私は首を横に振った。
『あなたは名前通りの人だ』
違う。そうじゃない。
名前負け、してるんだよ、私。
『スミレの花言葉。それは』
『「誠実。小さな愛。」』
泉さんと声が被った。
『知っていたんですか』
そこで初めて泉さんは私のほうを見た。


