私はその言葉を無視して、走り出す。 『待てって』 泉さんは私の腕を掴んだ。 その力は強く、振り払おうと思ったができなかった。 『どこか落ち着いた場所で話したい』 泉さんの表情は今まで見たことがないくらい真剣で。 「私の家がすぐそこです。 家で話しませんか?」 そう聞くと泉さんは頷いた。 それから3分くらい。 私と泉さんは終始無言だった。 どちらも口を開かない。 「どうぞ」 泉さんはお邪魔します、と一言言って私の部屋に入った。 いったい、これから何が始まるんだろう。