急に胸の辺りが熱くなって、涙が込み上げる。
「どうしてですか。
私が…信じられませんか?
なんで、教えてくれないんですか。
私はもっと…泉さんのこと、知りたいんです」
涙はポロポロと溢れ、なかなか止まろうとはしてくれない。
私はお金を机に置き、バーを出た。
私ってば…なんで泣いてるんだろう。
涙が出るようなこと、何1つないはずなのに。
悲しいことなんて…ない、はずなのに。
涙を拭い、とにかく走った。
もー最悪だよ…
こういうときにヒールなんて履いちゃって。
それでも私は無我夢中で走った。
「…………っ!!」
そうすると、ヒールが溝にはまり私は体勢を崩した。
『…………大丈夫、ですか?』


