私が首をかしげると泉さんは言う。



『アジサイです。
ハイドランジアの通称がアジサイ…だった気がしますが…

彼にぴったりの花だ。』


「なんでタカがその…ハイドランジア?にぴったりなんですか?」


泉さんは窓に寄る。

外はシトシトと雨が降り始め、梅雨をにおわせる。



『雨の中、水をはじき花を咲かす。

ちなみハイドランジアの花言葉は辛抱強い愛情、です』


「辛抱強い愛情…」


無意識に泉さんの言葉を繰り返していた。



『彼はあなたを辛抱強く、愛していた。
8年間も。

とても普通の人には真似できないことです。

僕は…彼を尊敬します。
その、一途で真っ直ぐな愛情。

素晴らしいと思いますよ。』



タカ…私、ちょっとだけあんたのこと見直したよ。



私のこと、好きでいてくれてありがとう。

黙って私を見ていてくれてありがとう。


これからも友達…じゃないや。

親友として、よろしくね?