「ここです。ここが樹様のお部屋です。」
いきなり店長の部屋か。
てか求人情報誌に店長って書いてあったけど、絶対、確実に関係なさそうだな。
山崎さんがコンコンコンと三回ほどドアをノックする。
やけにその音が響いたような気がした。
多分、私はそれなりに緊張しているのだ。
「樹様。如月さんをお連れしました。」
「入れ。」
ドアの向こうから短い返事が聞こえた。
重そうなドアを山崎さんが開けると、私が思い描いている『社長が座る特別なふかふかそうで高そうなイス』に座っている一人の男性がいた。
「樹様。この方が如月美憂さんでございます。」
「ありがとう。下がってくれていいよ。」
「はい。では失礼致します。」
やばいよ!樹様ユニークな人っぽくないよ!!凄い近寄りがたいオーラ出しちゃってますからぁ!!助けて山崎さん!!
助けを求めてドアを閉めるギリギリに山崎さんを見つめると目が合った‥が、にっこりと微笑んで去って行った。
NOーー!!!!!!

