【バレンタイン短編-2009-】 俺のココ、あいてるけど。

 
このチョコがずっと残るかと思うと恥ずかしい。少しも食べずに冷やされるかと思うと切ない。


味見程度でいいから少しかじってもらいたい。それで、いつものように「うまい!」って言ってもらいたい。


「展望台で言ったじゃん。今年のは食べられない。もったいない」


セイジはまだすねた顔。ほっぺをプクッと膨らませてそう言った。


「そんな……」

「いいの。食わなくても味は分かってるから」

「じゃあ当ててみてよ。今年は隠し味だって入ってるんだから。当たらないと思うよ?」


なんだか悔しくなって、あたしもプクッと膨れてセイジに挑戦状をたたき込んだ。


当たらなかったらその場で食べてもらわないと。プロポーズの言葉、セイジに消化してもらわないと恥ずかしすぎる。


写メを撮ったらもう食べても平気だと思う。というか、写メもそれなりに恥ずかしいけど、現物があるのとないのとでは気持ち的に違うんだ。


女心っていうやつだよ、セイジ。お願いだから残しておくのだけはやめて……。


でも、セイジは不適に笑うとこう言ったんだ。