セイジに断られたときのことがふっと頭をよぎって、あたしの口からはそんな言葉が出たんだ。
ショックが最小限で済むように、できるだけ浅い傷で済むようにって、保険をかけてる。
愛してるならぶっかっていけばいいだけのこと。保険とか逃げ道とか、そんなの作らずに“これがあたしの気持ちです”って堂々としてればいいだけのこと。
なのにあたしは……。
セイジの答えが聞きたくて仕方ないのに、心のどこかで答えを……“ごめん”を聞きたくないあたしもいる。
黙ったまま動かないセイジの気配を全身に感じるあたしは、このときほど弱い自分を嫌だと思ったことはなかった。
「フーッ……」
永遠にも感じる長い長い沈黙が続いたあと、セイジが緊張をほぐすように強いため息をついた。
チョコに書いたプロポーズの言葉に答えようとしているのを直感したあたしは、とっさにきつく目をつぶった。
「……このチョコ、俺、食わなくてもいい?」
「……」
あたしは声が出なかった。
なんで?いらないってことなの?どうして……。


