【バレンタイン短編-2009-】 俺のココ、あいてるけど。

 
セイジに断られたときのことがふっと頭をよぎって、あたしの口からはそんな言葉が出たんだ。


ショックが最小限で済むように、できるだけ浅い傷で済むようにって、保険をかけてる。


愛してるならぶっかっていけばいいだけのこと。保険とか逃げ道とか、そんなの作らずに“これがあたしの気持ちです”って堂々としてればいいだけのこと。


なのにあたしは……。


セイジの答えが聞きたくて仕方ないのに、心のどこかで答えを……“ごめん”を聞きたくないあたしもいる。


黙ったまま動かないセイジの気配を全身に感じるあたしは、このときほど弱い自分を嫌だと思ったことはなかった。


「フーッ……」


永遠にも感じる長い長い沈黙が続いたあと、セイジが緊張をほぐすように強いため息をついた。


チョコに書いたプロポーズの言葉に答えようとしているのを直感したあたしは、とっさにきつく目をつぶった。


「……このチョコ、俺、食わなくてもいい?」

「……」


あたしは声が出なかった。


なんで?いらないってことなの?どうして……。