【バレンタイン短編-2009-】 俺のココ、あいてるけど。

 
早くセイジにメールしたくて急いで事務室を出ようとすると、店長は机に身を乗り出して言った。


「あ、それと1つ注意点がある」

「なんですか?」


あたしは呼び止められてちょっとソワソワ。早くセイジに……と気持ちが焦るばかり。


「昨日の二の舞にならないようにオバタリアンには気をつけろよ?頼まれてもきっちり断っとけ。おばちゃんたちは俺でも怖い」

「ぷはっ!店長、オバタリアンって古いですって!」


大真面目な顔で、しかもブルッと身震いまでして言うものだから、あたしは空きっ腹に響くくらい腹筋を使って笑ってしまった。


「冗談で言ってるんじゃないぞ?本当に怖いんだ。ウチの女房と娘にそっくりだよ……」

「ふふっ。お気遣いいただいてありがとうございます、店長。だけど、この休みだけは誰にも譲れませんから、なにがなんでも死守しますね!」


苦笑いの店長にグッと握った拳を見せると、あたしは意気揚々と事務室を後にした。


パートさんに頼まれてもバレンタインだけは守らなくちゃ!一世一代のプロポーズなんだもん、頑張らないと!