早くセイジにメールしたくて急いで事務室を出ようとすると、店長は机に身を乗り出して言った。
「あ、それと1つ注意点がある」
「なんですか?」
あたしは呼び止められてちょっとソワソワ。早くセイジに……と気持ちが焦るばかり。
「昨日の二の舞にならないようにオバタリアンには気をつけろよ?頼まれてもきっちり断っとけ。おばちゃんたちは俺でも怖い」
「ぷはっ!店長、オバタリアンって古いですって!」
大真面目な顔で、しかもブルッと身震いまでして言うものだから、あたしは空きっ腹に響くくらい腹筋を使って笑ってしまった。
「冗談で言ってるんじゃないぞ?本当に怖いんだ。ウチの女房と娘にそっくりだよ……」
「ふふっ。お気遣いいただいてありがとうございます、店長。だけど、この休みだけは誰にも譲れませんから、なにがなんでも死守しますね!」
苦笑いの店長にグッと握った拳を見せると、あたしは意気揚々と事務室を後にした。
パートさんに頼まれてもバレンタインだけは守らなくちゃ!一世一代のプロポーズなんだもん、頑張らないと!


