「2月の第2週の土曜日……と。おっ、バレンタインか。昨日の埋め合わせに会いに行くのか?」
店長は卓上カレンダーに指を這わせて日にちを確認すると、ニヤッと笑ってそう聞いてきた。
「はい、まぁ……」
今度はあたしのほうが頭の後ろを掻く番になってしまった。
直接「14日に休みたい」と言うのは恥ずかしいから、日にちのことはオブラートに包んで“バレンタイン”って言葉だけは出すまいとしてたのに。
前にセイジが言ってた通り、店長は相変わらずご健在。従業員の恋愛事情にはとことん詳しい50歳の妻子持ちだ。
「いいぞ、行っておいで。今まで長澤は文句の1つも言わなかったんだ。これくらいのわがまま、俺が店長じゃなくても聞いてやる」
そんなあたしの様子を見ると、店長はふいに優しい表情になって快諾してくれた。
「ありがとうございます!」
あたしはすぐに満面の笑みになって深々と頭を下げた。さすが店長、その太いお腹はダテじゃない!店長の太っ腹に感謝。
あたしはいよいよセイジに会いに行けることになった。


