【バレンタイン短編-2009-】 俺のココ、あいてるけど。

 
「俺が愛しのミクに怒ると思ったか?そんなに器の小せぇ男じゃねぇよ」


そんな私の疑問をぬぐいさるようにセイジは笑う。そして、まだ黙っているあたしにこうも言った。


「おめかししたとこ見せたかったんだろ?分かってるって。何年つき合ってると思ってんだよ?」


あたしの気持ちが手に取るように分かってるといった見事な読み。セイジの口調のどこにも、怒っているような気配はなかった。


「せ、せっかくの休みだったのに仕事入っちゃって悔しかったんだよ……。家族旅行なんて行かなくてもいいじゃん〜。なんであたしに頼むのよ〜」


セイジの声に安心したあたしは、今までため込んでいた不満を一気に吐き出した。


頼まれれば何でもホイホイ引き受けちゃうあたし。そこがあたしのダメなところで、セイジが「ミクらしくて好き」と言ってくれるところ。


パートさんと違って責任も重みもある“社員”っていう肩書きだけど、実際のあたしはこんなもの。


やっぱり好きな人には会いに行きたい、一緒にいたい、少しでも役に立ちたいって、そう思うのが女心ってものなんだ。